3−1 短周期微動特性


(1)短周期微動

 高感度地震計を用いると、地上のあらゆる場所において、常に、非常に小さな振動すなわち微動が観測される。揺れの特性は場所によって異なるが、大きさは変位振幅で数マイクロメートル(1マイクロメートル=0.001ミリメートル)以下、速度振幅でミリカイン(0.001cm/sec)以下である。この振動の大きさは極めて小さく、数千ないし数万倍に増幅してようやく人体に感じうる程度の大きさである。周期は数秒〜0.1秒と多岐にわたっているが、特に周期1秒以下(周波数1Hz以上)のものは短周期微動といわれる。微動の発生源は海洋の波浪・風等の自然現象および、交通機関・工場・人間の各種社会活動などの人為的振動によるものと考えられている。

 微動の周波数特性は、同一場所で測定条件を同一にして測定するとほぼ類似しており、また地盤構造を異にする場所では異なることから、その地点の地盤固有の振動特性に関連すると考えられている。そのため、地下構造を解析する物理探査の手法の1つとして有用であり各種観測および解析手法が検討され、一部は実用化の段階にある。また、地震時における地盤の揺れの特性を推定するための指標の1つでもある。地盤の固有周期と構造物の固有周期が近い場合には揺れが増幅され、大きな地震災害を生じせしめる可能性が大きいため、構造物の設計・施工に際しては観測がなされることが多い。


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