2−5 表層S波速度の分布


 (2)S波速度の分布

 学校、公共施設など測線を張ることの可能な地点を選定し、76地点において1993年から1994年にかけて測定を行った。解析された地下速度構造から、地表下5m深および10m深でのS波速度を求め、盛岡市域のS波速度分布を作成した。図2−21に地表下5m深におけるS波速度の分布、図2−22に同じく10m深における分布を示す。地表下5m深におけるS波速度は、大部分が150m/s〜600m/sの範囲にある。一般に市域の北西部一帯では速度が小さい。月が丘少年院わき100m/s、滝沢南中学校100m/s、北厨川小学校140m/s、北陵中学校140m/s、厨川駅北東で140m/s、盛岡北郵便局140m/s、大新小学校140m/sなど150m/s以下の測点が多く、区域全体として比較的軟弱とみなされる。但し、月が丘少年院わきの市営住宅予定地(測定時)では100m四方程度の広がりの中で8測線での測定を行っているが、速度値は100・130・150・160・250・290・710m/sと狭い範囲内でも差異が大きく、地盤状況は局部的に異なっていることを伺わせる。なお、1983年日本海中部地震で液状化災害が著しかった能代市域の表層S波速度は110m/s以下の地点が多かったことや海岸平野での速度が100〜120m/s程度であることを鑑みれば、相対的に軟弱とされる北西部区域の地盤は著しく軟弱なランクにはあたらないとも評価される。

 速度が200m/s以上の地点はやや堅硬、400m/s以上は堅硬と評価される。側転のうちサンタウン松園の切土地盤は780m/s、箱清水三田農場は630m/s、岩手大学農学部は660m/s、盛岡第四高等学校は600m/s、岩手大学付属養護学校は630m/sと特に速度が大きい。また手代森小学校や乙部中学校では1000m/s程度あるいはそれ以上の値が得られているが、これは堅硬な花崗岩の岩盤が地表近くまで分布しているためである。

 地表下10m深のS波速度は、一般に5m深に比して大きな値を示し、分布の傾向は5m深と類似している。150m/s以下の地点は存在せず、また200m/s以下の地点も月が丘の北郵便局、厨川の杜陵学園、盛岡競馬場などごくわずかである。

 旧市街地一帯では、一定の広さを有する空き地がほとんど無いため測定が行えなたっか。そこで、ボーリング資料による土質区分・N値・深度と実測S波速度との関係から、盛岡市域におけるS波速度推定式を作成し(山本ほか:1996)、地表下5m・10mおよび15mにおける推定S波速度分布を求めた。その結果を図2−23図2−24図2−25に示す。地表下5mでは北西部に150m/s以下の地点が散在するが、地表下10mになると大部分の測点で200m/s以上である。特に旧市街地一帯では地表下5mと浅い場合でもS波速度は250m/s以上であり比較的堅硬な地盤が分布していることを示している。


      第2章目次へ戻る